旧亀田町役場庁舎が取り壊される前に地元住民が動きました。
2009年水と土の芸術祭で発表した『Niigata水の記憶 プロジェクト』は、かつて「地図にない湖」と呼ばれた新潟の土地の記憶をフロッタージュという描画技法を使い、市民と恊働であぶり出した作品であった。その市民とのつながりは翌年の2010年『木津小学校の記憶+にいがた水の記憶』で解体される予定だった旧木津小学校体育館での作品づくりへ、そして今回の作品へと受け継がれていった。
そもそも水の記憶はどこでもない、現在も人々が豊かに暮らしているその土地、新潟その土地の記憶であり、先人たちが水害との闘いの記憶が薄らいでいくことに危機感を抱き、石に刻んでも伝えたかった記憶である。
「芦沼」と呼ばれた亀田の地を守り、水と土との闘いを生き抜いた記憶が甦る
今回亀田の住民たちが、旧亀田町役場庁舎が解体、取り壊されることを機に、その場所での記憶に寄り添い、自らの手で記憶を写し、作品として現在を重ねる。これからの町のあり方、自分たちの足下の土地への意識の「転換点」として考えていくきっかけの場となればいいと考えた。
旧庁舎内部や新潟の水の記憶に関する農具などに紙をあてて、色鉛筆で擦るフロッタージュの技法で作品を制作した。地域住民、小中学生などで、写しとった市民一人ひとりの記憶で庁舎2階の議場内を埋め尽くし、会期途中で作品を増やした。
展示期間:2012 年7 月14 日(土) ― 12 月23 日(日)の毎土日 (休 月〜金)
展示場所:旧亀田町役場庁舎(新潟市江南区亀田新明町1)
協賛:ホルベイン工業株式会社
LIFE works 新作、旧作も展示
昭和初期に建てられ当時のモダンな建築だった庁舎。大きな木製カウンターや太い丸太が親柱の階段などに1990年までの役場の記憶が随所に残っている。それらをこのプロジェクトに合わせて制作した作品を展示した。
また、2009年の芸術祭で制作した水の記憶を物語る二点の作品も会場内に展示した。
- 2012. 6. 8 新潟日報にてプロジェクト紹介記事掲載