山口県下関市豊前田町3-2-7 下関第一ビルディング
下関第一ビルディング 2002年撮影 山口県下関市の中心部に位置するこの建物は、戦後復興のシンボルとして建てられ、当時としては珍しいエレベーターが備えられました。また当時流行だったカーテンウォールがビル中央に備えられ、各層エレベーターホールに明るい日差しを提供しています。また建物の全長はおよそ100mあり、その長い廊下もこのビルの特徴です。 現在老朽化が目立ちはじめたものの、今もなお店舗やオフィス、また住居として利用され健在である。
space mold 2001-2002 2520×2015×730mm paper,rejin 当時下関に住んでいた頃、さまざまな場所をフィールドワークするなかで出会ったこの空間に日常とはかけ離れた感覚を味わった。 このビルの空間そのものに興味をもち、この下関第一ビルの空間それ自体を写す(移す)ことを考えた。 市の許可を得て、2001年から2002年にかけて、張り子の技法を応用してエレベータの扉を含む壁面を写しとった。
space printing 2003-2004 1610×546mm(56点) pencil on paper 動かなくなってしまったエレベータの周囲にめぐらされた階段は、この建物の最上階4階まで続きます。この階段には照明がついておらず、エレベータホールは陽が差すものの踊り場は逆に暗く、その陰影がますますこの独特な空間を演出している。 階段の縁には、すべて木製のステップが取り付けられ、そのすり減り具合によって往来の軌跡が刻みつけられている。さらに建設当時の左官職人のこて跡が残るコンクリートが、さらに一段一段の味わいにもつながっている。 作品『space mold』に続き、この全56段のすべて、ステップ全面を鉛筆で写しとった。